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『Web制作者のためのIllustrator&ベクターデータの教科書』を共著で執筆しました

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絶賛休業中のあわゆきです。

これ確か、お休みモードに入る前の最後のお仕事だったのではないかと思うのですが、本日2015年5月22日(金)インプレスから発売になった『Web制作者のためのIllustratorベクターデータの教科書 マルチデバイス時代に知っておくべき新・グラフィック作成術』という本を、共著にて執筆いたしました。

Web制作者のためのIllustrator&ベクターデータの教科書 マルチデバイス時代に知っておくべき新・グラフィック作成術

Web制作者のためのIllustrator&ベクターデータの教科書 マルチデバイス時代に知っておくべき新・グラフィック作成術

 

どうぞよしなにお願い申し上げます(深々)。

人気のあのシリーズだよ

Web制作業界の方はご存知の方も多いであろう、インプレスさんの『Web制作者のための■■■の教科書』シリーズの第5弾です。以前こちらの兄弟本の中にもチラリと顔を出させていただいた、あのシリーズ(顔を出したのは弊寿司ですが)。

あの頃はまさか、自分がこのシリーズの著者側として参加することになるとは思いもよりませんでした…。

ベクターデータ!

Web制作の中でも、日々多様化するマルチデバイス対応を見据えての『ベクターデータ』に特化しています。さらにグラフィック制作のワークフローもテーマになっている書籍ということで、なかなか珍しい切り口の1冊です。

その他のあらましは Amazon などで見ていただくか、書店で実物をチラリペラリと覗いていただくのが間違いないんじゃないかと思います。

 

…代わりと言ってはなんですが、あわゆきの Illustrator に対するエモみをほんのり晒しますね。

Illustrator のデザインカンプが嫌いだった人間のパラダイムシフト

最近はさすがにあまり見かけなくなりましたが、以前は「Illustrator のデザインカンプとか本当に迷惑だからやめてください」という書き殴りやらエントリーやらに時々出くわしたものでした。実際のところ、当初コーダー稼業を中心にやってきたわたしも Illustrator でカンプ作ってくる奴滅びろとか思っていたし、嫌なポイントというのは痛いほど分かります。

数年前は実戦で利用できる CSS も今と比べればまだまだ貧相なものでしたから、ちょっとした装飾でもスライスして画像として切り出さなければならないし、Illustrator のスライス機能はアレだし(察してください)。

ピクセルに整合していないエッジのぼやけたグラフィックはそのまま見過ごすのもストレスだし、じゃあ直すかといっても手間がかかるし、そもそもあまり Illustrator の操作に慣れていないから時間かかるし辛いし、差し戻しする時間もないし。

どこまでが画像化するテキストで、どこからがデバイステキストにしていいか分からないし…などなど。

尽きなかったわけです、とにかくコーダーにとって辛いポイントが続々と。

Illustrator のせい」ではないことを教えてくれた師匠たち

ただ、諸々を混同されがちですが、Illustrator カンプつらい問題は裏側に孕んでいる状況にちょっとポイントがあるんですけどね…。

Illustrator のデザインカンプ ≒ 作っているのはふだん Illustrator 使い慣れている人が多い ≒ 紙系の人多い ≒ Web デザインの基本的なポイントが踏まえられていないことが多い、ほとんどがこれなんじゃないでしょうか。あとは、Illustrator できちんと(大きな苦労なく)ピクセル整合させるための方法が知られていないというのも少々。特に後者は結構クリティカル。

そんな中で出会ったのが、 Illustrator でむっちゃくちゃ綺麗でかっこいいデジタル向けグラフィックデザインを作っちゃう、今回の共著者でもある 三階ラボの2人でした。

彼らと知り合ったきっかけは某アプリのβテスト仲間だったり Twitter の悪ノリアイコン仲間といったところで、 Illustrator とは特段関係のないところでした。そんな彼らとちょくちょくやりとりをするうち、そして実際に会ってみて仕事場にお邪魔なんかしてみると、ほとんどが Illustrator の話題に終始するという変態っぷり(褒め言葉)で。「こんな効率化 Tips を編み出した」とか「こんなやり方発見した」とか「ショートカットを見直した」とかスクリプトとか、兎にも角にも Illustrator の素敵なポイントや問題解決の手法を、それはそれは嬉しそうに山のように教えてくれたのでした。

もちろんそれまで抵抗を抱いていたデジタルデバイス向けグラフィックデザインの諸問題、主にピクセル整合をはじめとしたアレコレもあっさりと解消してくれました。さらに、より効率良く作業してクオリティを高めることに注力するその職人魂を見せつけられた日には、宗旨替えするのにためらう理由を見つける方が却って難しいレベルになっていたわけです。

問題解決からのメリット目白押し

ネックになっている部分さえ解消すれば、あとは他のグラフィック作成ツールと比べてどうなのという土俵に立つだけです。前述の通り、三階ラボの彼らから仕込んでもらった数々は、修正に強いデザインデータ作りやオブジェクトを数値的に捉えての整然とした扱いなど、とても魅力的なものでした。

皮肉なことに、これはむしろコーダーだった故に魅力を大きく感じたところが大きいんじゃないかと思います。コーディングって、なんだかんだ言っても数字との格闘ですから。数値的にきっちりしたデータを作り上げられる Illustrator はむしろラスターデータメインのツールよりも、わたしたちとの親和性が高い部分があるのではと感じています。コーダー故に嫌っていた Illustrator が、むしろこんなに気持ちの良いものだったとは…っていう。

ギャップ萌え?好きと嫌いは紙一重?なんでもいいです。今や自分がデジタルデバイス向けに何かしらのグラフィックを作るときは、まず先に出てくる選択肢は Illustrator です。

ほら、LINEスタンプとかね。

全部を Illustrator にしろとは言わないよ

ちなみに、今や個人的に利用するツールとしては Illustrator が第一位の選択肢ですが、何が何でも全てが Illustrator になればいいとは思っていない、というのがわたしのスタンスです。

デザインのテイストによっては、また、プロジェクトの背景や諸事情によっては、別のツールが適している局面ももちろんあります。あらゆるツールはそれぞれの思想を持って作られているものだから、最適な場面はそれぞれにあります。なので、全てを食う必要はないかと思います。

ただし昨今のマルチデバイス化の波など、以前よりは Illustrator などのベクターベースのツールでメリットが発揮されやすい局面は増えています。今回の本の後半に掲載されている SVG なんかもそうだし、最終的にビットマップな画像を書き出すにあたっても、元のグラフィックをベクターベースでこさえておくことで後々助かるケースは今後ますます増えることでしょう。

とりあえず、詳細は今回の本を見ていただくのがいいんじゃないかと思います(宣伝きました)。

この本、まずは Illustrator × デジタルデバイス向けグラフィックデザインに何かしらの抵抗があるなら、そこを払拭するのには十分な材料が揃っています。そしてさらに、どんな時によりメリットが発揮されるのか、これから主戦力たるツールの一つとして加えていただく際に参考になればいいなと思っています。

 

…などなどと。

長くなってしまうので、まずは Illustrator についての想いで止めておこうと思いますが、窪木さんの Sketch3 に関するパートも、まぼろし松田さんの SVG に関するパートも全てひっくるめて、最近の Web 制作と『ベクター』を結ぶちょっと変わった切り口でおもしろい1冊です。

ご興味のある方はぜひぜひ一度お手に取っていただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

Web制作者のためのIllustrator&ベクターデータの教科書 マルチデバイス時代に知っておくべき新・グラフィック作成術

Web制作者のためのIllustrator&ベクターデータの教科書 マルチデバイス時代に知っておくべき新・グラフィック作成術

 

Acknowledgement

最後になりますが、今回のこの書籍の執筆にお声掛けをいただいたインプレス柳沼さん、編集のリブロワークス大津さん、この度は本当にありがとうございました。自分もファンであるこのシリーズの1冊に関われる貴重な経験ができて、大変光栄に思います。

共著者の窪木さん、イベントで何度かお会いしていましたがご一緒できる機会ができてよかったです。松田さんの SVG のお話などは常々実務でも参考にさせていただいていたので、お忙しい中ご参加いただけて内心すごく嬉しかったのでした。

そして三階ラボのせいちゃんとかんわさん、そもそも2人にいろいろ教えてもらったことで Illustrator 派になって Adobe Pinch In での連載ができたり今回のお話につながったわけで、共著者という枠で一緒に仕事できたのは本当によかった!ありがとう。

その他にも普段からお世話になっているみなさま、こちらの本に興味を持ってくださっている皆さん、買ってくださる皆さん、ありがとうございます。ありがとうございます。

 

そして、そろそろガチで動けない状態に突入しそうな瀬戸際のあわゆきですが、今後ともよろしくお願い申し上げます(深々)。